成長発育の途中にある子どもにとって、丈夫で健康な歯でおいしく食事をするという行為は、大人以上に重要です。
虫歯ができると、噛む力が偏ったりしてしまいますが、これが癖になってしまうと、数年後には筋肉、顔面組織の非対称成長から来る、顔の真ん中の線のずれ、顔の輪郭の変形、さらにこれが全身面へ波及し、背骨の歪みまで影響することがあります。
お子様の健やかな成長のために、早めのむし歯予防・治療をお勧めします。
子どものむし歯の原因とは?
●歯磨きが上手くできない
●乳歯のエナメル質や象牙質の薄さ
●食べカスが溜まりやすい
お子様は「歯磨きが上手くできない」子が多く、ご家庭でのケアはとても重要です。歯磨きは、ただ歯ブラシで歯をこすればいいというものではありません。きちんと歯垢(プラーク)を落とすためには適切な磨き方ができる「技術」が必要です。子どもの場合、その技術を身につけていないため、口内の清掃が不充分になってしまうのです。
また、お子様の歯は、乳歯は永久歯に比べてエナメル質も象牙質も薄く、永久歯の半分ほどの厚みしかない乳歯のエナメル質や象牙質は、あっという間にむし歯菌に浸食され、神経まで達してしまうのです。
01 ブラッシングの訓練をします
お子様のお口の中を見ながら、お口にあった歯ブラシの選び方、歯磨きのタイミング、ブラッシング指導を丁寧に行います。保護者の方の仕上げ磨きもとても重要なので、一緒にトレーニングしていきましょう。
02 むし歯に強い歯をつくる「フッ素塗布」
フッ素は少量ながらも必ず摂取しなければならない微量栄養素で、海草類や魚類、お茶などに含まれています。歯科では再石灰化を促進しむし歯に強い歯質をつくる性質を持っていることから、むし歯の予防処置に用いられています。当院では、歯科医師・歯科衛生士が高濃度のフッ素を直接歯に塗るフッ素塗布をおこなっております。乳歯や軟らかい生えたての歯は酸に弱いため、子どもさんのむし歯予防に有効な処置です。1回のフッ素塗布では充分な効果が得られないため、3~6ヵ月毎の定期検診時にフッ素塗布をおこなってむし歯の予防効果を高めます。
03 口腔機能発達不全症への取り組み
口腔機能発達不全症は、2018年に保険診療で認められた小児歯科分野の新しい病名で、「食べる機能」「話す機能」「その他機能」が十分に発達していない状態を指します。この病態は、個人的因子や環境因子が影響し、食べる・話すといった口腔機能の定型発達が専門的なサポートを必要とする状態です。例として、指しゃぶりや口が常にあいている状態、爪噛みなどが挙げられ、3〜5割の子どもたちに見られます。病気というと身構えることもありますが、本人や保護者が気づいていないケースが多いです。しかし、機能的には全く働いていないわけではなく、機能獲得がやや遅れている状態です。そのため、早期に発見し適切なタイミングで介入すれば機能の軌道修正が可能です。
当院では、口腔機能発達不全症に該当するかの診断、また改善に向けたトレーニングについての指導も行っております。適切な口腔機能を獲得し、全身健康を目指しましょう。